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2013年11月14日木曜日

伸びた生徒のパターン

先の記事でご紹介したように、論理エンジンをご紹介した当時から採用いただき、今では全校レベルで導入されている別の高校に伺いました。推進者は物静かな先生ですが、しっかりと成果を上げられており、機会があればお話しを伺いたいと思っていた学校でした。

ペースは週4,5時間のうち1単位で3年間、1年生でOSの前半、2年生でOSの後半からPSの真ん中、3年生でPSを仕上げるというもので、先にご紹介した学校の特進コースとほぼ同じペースです。
ステップは基本的に頭から順に始め、夏や冬の長期休暇でまとまった課題を出してペース調整している、ということでした。なお、コースによってはPS4の英語の部分などは必要ないので飛ばす、ということです。

授業展開は予習を基本として、予習したかどうかを冊子提出で確認し、ステップ1から読み合わせ、一緒に解く、ひっかかりやすいパターンの確認、まとめで、ステップのやり残しは次回というオーソドックスなもので、これも先にご紹介した学校と変わらないように見えます。なお、冊子の答えは単元が終わった後まで配らないということでした。

では、何が違うのだろうと思い質問しますと、教科内のやりとりが静かであるがされている点が浮かんできました。
20代2人、30代3人、40代3人という比較的若い教科集団で、「生徒がどこでつまづきやすいか」「今年の学年は主述が弱いのでここを厚く指導しよう」など教えたいところを話し合い確認するということです。教科会は月に一度程度です。先生同士で生徒やクラスのうまく行っているところや進捗状況などを話し合います。

また、学年ごとに組んだスタッフで指導方針を共有したり、1年生の現代文、古文、論理エンジンはなるべく同じ人が指導できるようにするなどラインをそろえているということです。

導入時は2人の先生のみ、特進クラスだけの取り組みでした。自身が特進の担任となり、何か新しいことをしようということで導入したということです。そのクラスが現役で国公立8人と、これまでになかったような成果を出したことで、他の先生も関心を持たれたと言うことです。その時には、自身も一通り論理エンジンを使った指導を経験し、どこでつまづきやすいかなどの見通しも見えてきたので、他の先生にも説明しやすかったと言います。

生徒が伸びるパターンで一番多いのは、「中学まではできると思っている生徒」の話です。中学まではそれっぽい選択肢を選ぶという問題ですが、大学では客観的に読むことが必要となります。しかし、主観的によむことを直すテキストが無かったと言います。論理エンジンを使うことで、こうした中間層の生徒が客観的な読みをできるようになりGMARCHに届くようになるということが伸びた点だと言います。

その推移ですが、まず1年生のときは評論が弱い。論理エンジンをすることで2年の真ん中あたりから評論ができるようになってくる。しかし、ここで自由な読みができなくなり、小説が弱くなる。平行して世界を広げるような読み物をすることで、2年の後半から評論も小説もできるようになる、というのが最近のパターンのようです。

伸びた生徒で印象的だったのは、理系の生徒であまり現代文が得意でなく、論理エンジンをしても中々伸びなかったのですが、突然「パズルみたい」という感覚が生じ、「パズルだったら解ける」と話したことだと言います。この生徒は現役で国立の理系に進みますが、「パズルをはめる感覚」というのは、論理エンジンを用いた指導の成果を測る一つの目安として興味深い言葉です。

最後に、先生自身がどのような生徒であったのかを伺いました。ご自身は予備校には頼らず自宅でコツコツしていたということですが、勉強ポリシーは「わからないところは自分で徹底的に調べる」ということだったそうです。辞書を引き、調べた単語に印をつけ、また同じ単語を調べると「悔しい」と感じる。そうした勉強で辞書を何冊もつぶしたと言います。
高3まで数学を取っていたのですが、国語はもともと好きで、特に古文の先生に影響を受けたとお話されました。文法や内容など、どの説明も生徒の気持ちを引き付ける授業であり、「この人の質問に答えられれば受かる」と感じさせるような先生だったようです。

「声に出して読みたい日本語」の齋藤孝教授は、教育とは「憧れに対する憧れ」と言います。学問の世界や恩師に憧れ学ぶ先生のベクトルに、その先生に憧れる生徒のベクトルが向かうと言う図で説明されています。そんなことを思い出すお話でした。

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