○大迫弘和著『国際バカロレアを知るために』(水王舎)
現在の文科省の動きの下敷きとなる一つの考えに、国際バカロレアがあることは皆さまご承知の通りです。しかし、年末の中教審の発表に先駆けて、論理エンジンの版元、水王舎から2014年9月に『国際バカロレアを知るために』という本が出版されていることは、あまり知られていないかもしれません。そこで、同書の出版記念シンポジウムの内容をもとに、出口先生が国際バカロレアと論理エンジンがどのように関係すると考えているかをお伝えし、今年度の論理エンジンの扱い方を一緒に考えていければと存じます。お伝えしたいことは、国際バカロレアや文科省の提起する「探求型学力」の基礎には、論理的に思考し表現する力がより強く求められている、ということです。
同シンポジウムにおいて、学校法人国際基督教大学理事長であり、日本アイ・ビー・エム株式会社の相談役でもある北城恪太郎氏が主賓挨拶として、「全部の大学の入学者選抜が、IBを基にしたAO入試に変わっていくべきだと思う」と述べています。特に、「知識を使ってどう課題を解決するかなど、自ら考える力、あるいは批判的な精神を持つこと」が求められる、と指摘しています。
http://www.deguchi-hiroshi.com/report/index.html
『国際バカロレアを知るために』の著者、大迫弘和先生(リンデンホールスクール中高学部校長、広島女学院大学客員教授)は、国際バカロレアとは「探究型概念学習を、リベラルアーツの枠組みで実施する全人教育」だと説明されています。
○徹底的に物を考える力
新年度の対応も少しは落ち着かれましたでしょうか。さて、前回のニュースレターでは年末の中教審の発表に先駆けて、論理エンジンの版元、水王舎から2014年9月に『国際バカロレアを知るために』という本が出版されていたことをお伝えしました。同書の出版記念シンポジウムにおける著者大迫弘和先生と出口先生の対談から、国際バカロレアと論理エンジンの関係を捉えたいと思います。
http://www.deguchi-hiroshi.com/report/report01/report01_4.html
パネルディスカッションでは、スーパーグローバルハイスクールやスーパーグローバル大学、「トビタテ!留学JAPAN」、国際バカロレアを担当されてきた上野通子氏(参議院議員、前文部科学大臣政務官)が、イギリスでの滞在経験から「目的意識を持って、将来自分が何をしたいか、国のために何ができるかを考えること。そして楽しく学ぶ」ことの重要性を実感したことから、試験のための大学入試からの転換が必要だと感じていたと話を始められます。続いて、鈴木寛氏(文部科学大臣補佐官)が、東日本大震災被災地の当時の中学3年生100人が参加した「OECD東北スクール」というプロジェクトにおける挑戦や思いやり、探求と考える姿勢が国際バカロレアの目指す学習者像と重なっていることを説明されます。また、寺脇研氏(元文部科学省審議官)が、30年近くかけて「生涯学習者」を育成する素地づくりが行われてきたことを、「ゆとり教育」と絡めて話されています。
こうした話と前後して、出口先生は、国際バカロレアのすごいところは「徹底的に物を考える力をつけていくところ」だと捉えます。そして、「現代文の読解問題には正解がある」と思いこんでいる子どもの例を出しつつ、決まった正解を早く見つけ出すテクニックでなく、客観的に判断して考える力を養う必要がある、と警鐘を鳴らします。
また、鈴木寛氏の「PISA調査で課題とすべきは、改善した読解力でなく、低下し続けている学習意欲」、寺脇研氏の「地殻変動が起こっているのは、進学系でない高校」という指摘も踏まえて、新年度の教育を考える必要がありそうです。
現在の文科省の動きの下敷きとなる一つの考えに、国際バカロレアがあることは皆さまご承知の通りです。しかし、年末の中教審の発表に先駆けて、論理エンジンの版元、水王舎から2014年9月に『国際バカロレアを知るために』という本が出版されていることは、あまり知られていないかもしれません。そこで、同書の出版記念シンポジウムの内容をもとに、出口先生が国際バカロレアと論理エンジンがどのように関係すると考えているかをお伝えし、今年度の論理エンジンの扱い方を一緒に考えていければと存じます。お伝えしたいことは、国際バカロレアや文科省の提起する「探求型学力」の基礎には、論理的に思考し表現する力がより強く求められている、ということです。
同シンポジウムにおいて、学校法人国際基督教大学理事長であり、日本アイ・ビー・エム株式会社の相談役でもある北城恪太郎氏が主賓挨拶として、「全部の大学の入学者選抜が、IBを基にしたAO入試に変わっていくべきだと思う」と述べています。特に、「知識を使ってどう課題を解決するかなど、自ら考える力、あるいは批判的な精神を持つこと」が求められる、と指摘しています。
http://www.deguchi-hiroshi.com/report/index.html
『国際バカロレアを知るために』の著者、大迫弘和先生(リンデンホールスクール中高学部校長、広島女学院大学客員教授)は、国際バカロレアとは「探究型概念学習を、リベラルアーツの枠組みで実施する全人教育」だと説明されています。
○徹底的に物を考える力
新年度の対応も少しは落ち着かれましたでしょうか。さて、前回のニュースレターでは年末の中教審の発表に先駆けて、論理エンジンの版元、水王舎から2014年9月に『国際バカロレアを知るために』という本が出版されていたことをお伝えしました。同書の出版記念シンポジウムにおける著者大迫弘和先生と出口先生の対談から、国際バカロレアと論理エンジンの関係を捉えたいと思います。
http://www.deguchi-hiroshi.com/report/report01/report01_4.html
パネルディスカッションでは、スーパーグローバルハイスクールやスーパーグローバル大学、「トビタテ!留学JAPAN」、国際バカロレアを担当されてきた上野通子氏(参議院議員、前文部科学大臣政務官)が、イギリスでの滞在経験から「目的意識を持って、将来自分が何をしたいか、国のために何ができるかを考えること。そして楽しく学ぶ」ことの重要性を実感したことから、試験のための大学入試からの転換が必要だと感じていたと話を始められます。続いて、鈴木寛氏(文部科学大臣補佐官)が、東日本大震災被災地の当時の中学3年生100人が参加した「OECD東北スクール」というプロジェクトにおける挑戦や思いやり、探求と考える姿勢が国際バカロレアの目指す学習者像と重なっていることを説明されます。また、寺脇研氏(元文部科学省審議官)が、30年近くかけて「生涯学習者」を育成する素地づくりが行われてきたことを、「ゆとり教育」と絡めて話されています。
こうした話と前後して、出口先生は、国際バカロレアのすごいところは「徹底的に物を考える力をつけていくところ」だと捉えます。そして、「現代文の読解問題には正解がある」と思いこんでいる子どもの例を出しつつ、決まった正解を早く見つけ出すテクニックでなく、客観的に判断して考える力を養う必要がある、と警鐘を鳴らします。
また、鈴木寛氏の「PISA調査で課題とすべきは、改善した読解力でなく、低下し続けている学習意欲」、寺脇研氏の「地殻変動が起こっているのは、進学系でない高校」という指摘も踏まえて、新年度の教育を考える必要がありそうです。
○論理的・批判的に考え書く力
『国際バカロレアを知るために』の著者大迫弘和先生と出口先生との対談で、大迫先生は国際バカロレアのプログラムの良いところを「学ぶことに対する姿勢とスキルを徹底的にトレーニング」するところだと評価されています。中でも、「リフレクション(省察)」の重要性を指摘されています。
http://www.deguchi-hiroshi.com/taidan/taidan12/taidan12_1.html#a01
大迫先生は、英語教育を例にとり、英語を使いこなせない原因は、学び手が必要性を感じないためだと指摘します。赤ちゃんがどのように「ママ」という言葉を覚えるか、それはその学習が必要であり、意味あることだからだという学習観に国際バカロレアは立っていると説明されます。こうした学習観に立つとき、重要なことは相手、学校でいえば生徒の状態をよく「見る」であり、それができるのがプロフェッショナルだと説明されます。決まった知識をただ伝えるよりも、生徒の状態に応じて教育を行うことの方がより専門性が必要となる、だから国際バカロレアでは教員研修が非常に重視されるとおっしゃいます。
これからの教育について、出口先生は「さまざまな情報を探し、真偽を確かめ、問題を発見し、解決していく」力が求められると指摘します。そのうえで、母国語、英語、数式などの「言葉」を用いてものを考え、表現する力が求められる。それに応えているのが国際バカロレアのプログラムだと評価します。そして、プログラムの中で、分析的かつ論理的な文章の読み方・書き方、「文章を論理的に読み、論理的に考え、論理的に表現していく力」が重要視されていることを指摘します。大迫先生は、「知の理論(TOK)」という授業で求められる8,000字(日本語)では、評価基準は内容ではなく、「主張を伝えるために、いかにうまく構成されているか、説得力のある例証があるか、具体的なものが加えられているか」「論理的・批判的にものを考えて書く力」であると説明されます。なぜなら、それらがないと学びが成立しないからだとおっしゃいます。
上記の対談を踏まえ、どのように「学びの必要性」が感じられるプログラムや、「論理的・批判的に考え書く力」を養う授業を作れるかを一緒に研究できればと思います。
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