このブログを検索

2014年3月26日水曜日

論理エンジン 成績推移ベンチマーク

来週から新しい年度が始まります。
そこで、論理エンジンを行っている学校のデータをもとに、
成績推移のベンチマークを行ってみたいと思います。
学校の特定を避けるために、数字は小数点以下を四捨五入しています。
初期偏差値が40代前半の高1クラスをイメージしています。

1.偏差値は7月から1月にかけて高1で+4ポイント(進研)、河合は±1ポイント程度に収める。
○進研ゼミ偏差値
高1 7月42→1月46(+4) 
○河合偏差値
高1 8月45→11月44(△1)

2.得点率は、評論と小説で10ポイント強、漢文で30ポイント弱向上させる。河合の場合は小説で20ポイント弱向上させ、評論や漢文は10ポイント程度の落ち込みに収める。
○進研ゼミ得点率
評論 7月34%→1月43%(+9%)
小説 7月43%→1月56%(+13%)
古文 7月18%→1月24%(+6%)
漢文 7月3%→1月31%(+28%)
○河合得点率
評論 8月40%→11月29%(△11%)
小説 8月26%→11月43%(+17%)
古文 8月38%→11月34%(△4%)
漢文 8月34%→11月24%(△10%)

(その他の指標)
・下位生徒(偏差値40以下)の減少
・偏差値50以上の割合の増加
  高1 国語 7月12%→1月38%(+26%)
     数学 7月15%→3%(△12%)
     英語 7月9%→14%(+5%)
・安定した得点
・英国数の中で国語が最も伸びている
  高1 数学 7月43.5→1月43.7(+0.2)
     英語 7月41.6→1月42(+0.4)

○取り組み内容
・テキストを宿題にしてきちんとチェックする
・保護者に、子どもが論理エンジンを家でやっている姿を意識して見てもらうようにする(家庭学習習慣がついていることを示す)
・できる生徒は先に進ませる
・レベル1から30までは一緒に教室で行い、全員に網をかけて発問する
・受かるまでクリアテストをさせる

なお、参考までに高2から論理エンジンを始めた場合は、進研の偏差値で数学や英語で1ポイント程度ほど下がっていても国語では1ポイント強上がっている、という状況を作りたいです。小説では30ポイント弱、評論や漢文では10ポイント弱の得点率向上が一つの目安です。できれば小説で7割以上得点したいところです。

○進研ゼミ偏差値
高2 7月45→1月46(+1) 
○進研ゼミ得点率
評論 7月34%→1月41%(+7%)
小説 7月18%→1月46%(+28%)
古文 7月32%→1月31%(△1%)
漢文 7月30%→1月38%(+8%)

(その他の指標)
・偏差値50以上の割合の増加
  高2 国語 7月33%→1月45%(+11%)
     英語 7月15%→1月24%(+9%)
・高2 11月・1月 小説で7割以上
・英国数の中で国語が最も伸びている
  高2  数学 7月46→1月45(△1)
      英語 7月46→1月44(△2)

2014年3月19日水曜日

夏目漱石

以前、石原千秋先生のことについて記事を書きました。
その際は受験国語に関する本を中心にしましたが、
石原先生は夏目漱石に関する本もいくつか書かれています。
ご本人は、テキストに即して解釈するテキスト論の研究者であるということから、著者の人物像に迫り、これを解釈の中に含めることについては慎重な立場をとられています。したがって、夏目漱石に関しては、想いが高じて、というところもあるのでしょうか。

比較的わかりやすかったのは、
漱石と三人の読者
という新書です。

なぜ「こころ」が国語教科書の定番となったのか。
なぜ女子高生受けが悪いのか。(石原先生は教科書の編成委員も務めていらっしゃいました。)
それは、当時「こころ」が対象としていた読者層を考えてみるとわかる、という点が面白いです。
当時、大学教授という職から朝日新聞の専属となったこと、当時の新聞を購読した層と現在朝日新聞を読む層の違い、文壇から離れ木曜会という集まりが目に見える読者として存在していたこと、漱石を取り巻く風景を描くなかで、なぜ漱石が実験的な試みを行い、小説の可能性を追求したのかがわかりやすく書かれています。

始まりと終わりという枠が決まっていることが小説を形づくっていて、その中で読者に多様な読みを可能にする仕掛けを漱石は作ったと言います。こうした読みの可能性という観点から「虞美人草」などの作品を比較する観点も面白いです。

論理エンジンに基づく小説の解読は、その読みの確かさ、つまり根拠と道筋を明確に言語化することを意識してトレーニングする必要がありそうです。

「こころ」については、

「こころ」 大人になれなかった先生

も参考になります。
先生が書いた手紙は、とても折りたためるような長さではない、という指摘などが面白いです。



2014年3月10日月曜日

寄り添うこと

論理の匠 長谷先生が「寄り添うこと」というタイトルでブログ記事を書いています。

その中で、不合格になった生徒が報告に訪れて、後期に向けて切り替える「場」に寄り添いたい、とおっしゃっています。

そうした姿勢の背景には、ご自身がうまくいかなかったときの経験があります。

誰にも話したくないとき、会いたくない時に、「頭の中に浮かんでくる人」、そんな人になりたいとおっしゃいます。

とても共感する記事でした。

寄り添うこと

2014年3月5日水曜日

先生による学び合い

論理の匠である開智高校の加藤先生による授業力向上セミナーの4回目が行われました。

① OS3の実践授業(1年間の指導のゴールイメージを持つ)
② 次年度の導入期における指導上の留意点の共有
をテーマとした先生がたの学び合いにより進められます。
http://www.kato-katsumi.net/archives/68096469.html

教科会は教科指導力の向上、学年会は生徒指導力の向上を目的に話し合いが行われる場ですが、そうした場において学びが生じるためにはいくつか気を付けておくべき点があるように思います。

一つは、目的です。
この場において話し合うことは、どのような目的をもっているのか、どのような目標を実現するためなのかを認識しておく必要があります。まず、論理エンジンを通じて、生徒にどのような力をつけたいのか、を確認する必要があるでしょう。教科会でいえば、「生徒は何を学ぶのか」「生徒がどのような状態になればよいのか」という点を共有しておく必要があると思います。それが、加藤先生のセミナーにおける①ゴールイメージの設定、ということになろうかと思います。

二つ目は、どのように測るのか、です。
自分たちの目的や目標が実現しているかどうかを測るためのものさしを決めておく必要があります。教科会でいえば、「生徒が学んだかどうかをどのように測るのか」ということになります。論理エンジンの場合、これはクリアテストになりますし、加藤先生のセミナーでは答案に至る過程を参加者が説明や板書により言語化し、可視化するということになろうと思います。

三つ目は、測った結果、どうするのかです。
自分たちの目的や目標が実現しているかを測り、うまくいっていなかったらどうするか、うまくいっている場合はどうするかを考える必要があります。論理エンジンの場合でしたら、OSやクリアテストの出来具合を判断して、できている/できていない場合にどのような対応をするのかを考えること、教科会でいえば定期テストや模試分析をした結果どのような授業を行う必要があるのかを考える必要があります。加藤先生のセミナーでは、②次年度の指導上の留意点、がこれに該当します。

上記のことを踏まえた学び合いの場を設定することで、先生同士の話し合いや生徒同士の話し合いがより実りのあるものになると思います。