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2015年7月21日火曜日

論文を作成する取り組みのパターン

新テストや、SGH,国際バカロレアが着目される中で、高校卒業までに生徒が論文を作成する、という取り組みが一つの潮流となっています。そこで、いくつかのパターンを見てみましょう。

○中2、中3、高1で書き上げる

中1での地域フィールドワークで調査方法を体験的に学んだことを土台として、中2、中3で「探究」の授業時間を設け異学年ゼミを組織し、自分の問いを練り上げていき、高1で書き上げて、高2からは大学受験に向けた勉強に進む。紀要を作成し、各ゼミでの取り組みが共有できるようにしている。

○大学への内部進学者を対象とした希望制

中学では学校全体のテーマに沿った探究的学習を行い、高校で大学内部進学者を対象として総合的な学習の時間や選択授業の時間を使って、図書館でのテーマ選び、グループ内でのサブテーマ出し、中間発表、書き上げ、公開発表(外部受験者も参加可能)。優秀論文は全文掲載する紀要を作成。

○全員を対象

高3で「論文」の時間を週2コマ設け、放課後には週2回、大学のライティング・ラボから大学院生のチューターを派遣してもらい相談できるようにしている。卒業論文作成ガイドを作成し、優秀論文を紀要に掲載。1年生、2年生向けに発表。自宅で書いて、授業では対話を中心に指導。

○中学生での月一発表会、「働く」をテーマに卒業論文

毎月送られてくるナショナル・グラフィックの写真から、3枚をピックアップし、どこが気になったのか、何を感じたのかを書く。平行して、学年共通のテーマについてグループワークを行い月に一度、全学年の集まる場で発表する。特別に授業の時間は設けず、学校行事や総合的な学習の時間、ロングホームルームの時間を使って指導。中学3年生で「働くこと」をテーマに卒業論文を書く。
やりたいことを調べて書く、というものでなく、自分の選んだ職業の現状と問題点を踏まえた上で、将来の展望などを書く。この時、必ずその職業の関係者へのインタビューを入れる。ゼミ形式で教員一人に生徒三人がつけられるが、特段授業の枠は設けていない。中2では、多くの社会人を呼んで話を聞くことに加え、会社からミッションを受けて最終的に社長にプレゼンテーションをする。高校ではクラス内でコンペを行い、代表のみが集まり発表。
この取り組みを始めた1期生が高3だが、模試の結果を見ると、中1、中2は低空飛行だが、中3からぐっと上がる。外部から高校に入った生徒と比べると、初期値は外部入学生が高いが、スイッチの入りが遅いのか、後で内部から上がった生徒に抜かれる。目標や問題意識を持つことがとても大事、ということを再確認する結果となった。

10年の道のり

論理エンジンを使い始めておよそ10年になるという関東の中学校高等学校にお邪魔いたしました。高校で3コース、これに中高コースが加わります。

中高コースではOSを中学で終わらせます。高校から入学する生徒は高校からOSに取り組みます。コースによって、OS3、OS4、OS5と到達進度は異なります。これに、PS3までが、コースに応じて追加されます。高校1年でOS、PSともに終わらせ、入試タイプの問題集につなぎます。論理エンジンは解答の手順を学ぶテキストなので、記述の問題集やセンター対策の指導がしやすいということです。

このような体制がほぼ固まるまでは試行錯誤の連続でした。最初は、国語だけでなくすべての教員が理解し、学校としての取り組みをする必要があるということから、担任がOS1を指導する形態でした。ロングホームルームの時間を使って指導しました。国語科の中でも、教科書をする時間が減る、語彙が入っていない、などの批判があったそうです。しかし、学校としての取り組みということで理解を求め、ここ数年では当たり前の取り組みとなってきました。

特に、高校から入ってくる生徒については、つまづきを振り返ることが大事になってきます。中学と高校、語彙や抽象度に違いはありますが、基本となる部分では共通することも多く、論理エンジンを用いて、「なんとなくわかる」から、根拠をもって誰がどうしたいのかをとらえられるようになることが求められます。

今後、新テストやSGH、国際バカロレアを見据えて、指導体制についても見直していくつもりということでした。